一生HelloWorld

~無骨で狡猾な豚骨~

Google STADIAは無料ではないかという話

Google STADIAは無料ではないかという話

 久々の休みをもらった。

仕事明け、いつもの様に自宅でコーヒーを淹れTwitterのタイムラインをチェックする。どうやらGoogleがSTADIAというクラウドゲーミングサービスを発表したらしい。

平たく言えばNetflixやHuluのようなシステムで最新ゲームも遊び放題となるサービスだ。

 

www.youtube.com

 

smhn.info

 

japanese.engadget.com

 

いくつか興味深い点があるので考察(誇大な妄想)を投稿する。

まず3つある結論からいうと

  1. 『家庭用ゲーム機 vs クラウドゲーミング の戦争』だと考えている人は勘違いしている。既に決着はついている。
  2. Googleは無料で提供するのではないか』ということ。
  3. 『売り方を間違えるとGoogleがゲーム業界を破壊する可能性がある』という結論だ。

  

★なぜこのタイミングなのか

まず最初の疑問は『なぜ急にGoogleはゲーム業界に進出したのか』である。

これには2つ理由と1つの誤解がある。

  1. 稼げる市場だから
  2. 条件が整ったから

 

ゲーム市場は23億人のゲーマーが約15兆円を動かす超巨大産業である(2018年)。

Global Games Market Revenues 2018 - Per Region & Segment - Newzoo

シェア率

  • モバイル: 51%
  • 家庭用ゲーム機: 25%
  • PCゲーム: 24%

市場は平均約11%の成長率を維持し、年々巨大化している。

Goolgeはなにもかもが巨大である。まるで白鯨のように大きな体を維持するためには、相応に巨大な餌が必要である。これだけの規模の市場を狙わない理由がない。もしこのシェア率の内1%を獲得するだけでも莫大な利益が得られる。

 

STADIAのニュースだけを表面的に捉えると、Googleが急にゲーム業界に興味を持ち出した風に映るかもしれないが、それは誤解である。実はGoogleは何年も前からこの市場のことを気にしていた。2007年にゲーム内広告会社Adscape Mediaを買収。2014年にゲーム配信サイトTwitchの買収を巡ってAmazonと揉めた経緯もある。広告事業と相性のよいゲーム市場のことをずっと昔から気にかけていた。

 

時代が進むにつれ市場も変化した。高速通信技術が発達し、Googleは世界中に分散されたデータセンターを持てるようになった。更に2006年に買収したYoutubeが大成功し、圧倒的ユーザー数を獲得し。事実上動画プラットフォームのデファクトスタンダードにまでになった。この状況下でYoutubeを使った広告事業を発展させない理由がない。条件が揃ったのだ。

 

2018年2月頃、2017年かも知れない。WIREDの話によるとGoogleがゲーム業界で大量の引き抜きを初めていたらしい。当時のコードネームは雪男を意味する『Yeti』。

wired.jp

 

同時期に大物ゲームディレクターのフィル・ハリソンもGoogle引き抜かれている。彼はSonyAtariMicrosoftや後述するGaikaiでも功績を残してきた名ゲームディレクターである。Googleがいかに本気でこの事業に前のめりかが伺える。因みに壇上でSTADIAの説明をしていたスキンヘッドの男性がフィル・ハリソン本人だ。

フィル・ハリソンをSTADIAのマネージャーに当て、プロジェクト名は『Project Stream』に変わった。『ストリーミング配信の限界を押し広げる』ことを目的とした実験プロジェクトであり、ここで培われた基礎技術は後にSTADIAのベースになっている。

blog.google

 

その後アサシンクリードのプロデューサーであり、責任者であるジェイド・レイモンドを迎え入れ、より強固な布陣に仕上げた。

 

世界最大規模のゲームディベロッパーカンファレンスGDC2019を万全の体制で迎えたGoogle。ほぼ同時期にNVIDIAとSTEAMの発表があったが、世間はSTADIAの話題で持ち切りに。これもGoogleの作戦かどうかは分からないが、STADIAにとってこの2社は明らかに競合である。Googleにとってプラスに働いたのは間違いないだろう。まるっきり面子を潰されたのだ。(Google発表直後、Appleが定額ゲームサービスApple arcadeを発表したのは狙ったものなのか不明)

 

突然ゲーム業界に参戦した風に映るが、実際ははるか以前より水面下で状況を伺っていた。技術面を含めたいくつかの条件が揃ったことを期に、堅如磐石な体制を一気に整えに正面から攻め込んできたのだ。もしこれが1年後、2020年の発表だった際には、NVIDIAAppleに城を明け渡していたかもしれない。逆を言えば今回がラストチャンスだったのかも知れない。

 

★GDC2019の発表から見えてくるもの

実際の発表は開示情報が極端に少ないものだった。恣意的に制限しているとしか言いようがないのだが、ユーザーを喰い付かせるためにはもっとインパクトのある餌を見せびらかしてもよかったのではないだろうか。

例えばエクスクルーシブなローンチタイトルとか(STADIAでのみ独占的に販売することを契約したタイトルのこと)。例えば、利用料金体型だとか。Googleは私的な理由でそれらの情報を開示しなかった。

カンファレンス内では『すでに100以上のディベロッパーに開発キットを配布した』と言っている。そしてNDAの上で既に契約を進めていると語った。

 

私が思うに、開発キットはSTADIA公式発表の1週間前かそれぐらいの直前に配布されたのではないだろうか。もし、既に開発会社と開発タイトルが契約済みであれば、公表したのではないだろうか。ユーザーを惹きつけるタイトルをあの場で発表できれば、きっと最高のアピールになっていた。しかしそうしなかった。こじつけだが現時点で開発タイトルはほとんど決まっていないのだろう。

 

恐らく今回は発表はユーザーではなく、開発者の心を焚きつける意味が大きく占めていたのではないだろうか。後のE3(6月)やgamescom(8月)にユーザーの注目を一身に集めるための布石である。利用料金についても公表がなかった。ここについてもは後述するがやはり疑問が残る。

 

クラウドゲーミングは既にレッドオーシャン

GoogleがSTADIAを発表した後、専用機不要なゲームプラットフォームが『革命的』に映った人は何割かいただろう。実はこの技術自体は10年程前から存在する。加えてクラウドゲーミング業界は、言ってしまえば既にレッドオーシャンだ。競合他社がひしめき合い我先に数多の施策を打ち出している。

因みになぜ、売上が伸びていない市場で戦っているのか理由を話すと、ビッグウェーブが来てから沖に向かっても遅いからだ。最高の波に乗るには、波が来る前から沖で辛抱強く待っている必要がある。

 

クラウドゲーミングサービスは既に多くの企業が名乗りを上げている。

 

特にSonyは2013年に、当時クラウドゲーミング技術で先行していたGaikaiを300億円で買収。また2015年にもクラウドゲーミング会社OnLiveを迎え入れ、同時期にPlay Station Nowを開始するなど、クラウドゲーミングの分野でSonyは他社より一、ニ歩早く取り組んでいた。

 

GPUで有名な半導体メーカーNVIDIAGeforce Now2017年に発表。Microsoftは2017年にXbox Game Passの運用を開始。2018年にはMicrosoftがProject xColoudを発表した。特にここ最近はクラウドゲーミングの流れが激しく、つい先日もソフトバンクと提携したGeforce Now AllianceやiPhoneでゲームあそび放題定額プランApple Arcadeが発表された。

 

無論、Sonyが先行しているから一概に有利とは言えない。先見の明かもしれないが、売上はくっきりと盛り上がっているわけではない。もっとも定額サービスが盛り上がりすぎると、パッケージ事業に差し障るため、敢えてほふく前進のような戦略を取っているとの見方もできる。

 

抑えておくべきポイントは、競合が既にひしめき合っていることではなく、明確な武功を挙げた企業が一社もないことである。 なぜなのか。私の見立てではビジネスモデルに原因があると考えている。

 

Googleは全て無料で提供する。

ユーザーがサービスを始めるのに一切の料金は必要ない

これが私が思う最もGoogleらしい答えである。つまり月額利用料金は0円である。

 

競合と成り得るSonyNVIDIA、STEAMになくてGoogleにあるのは圧倒的なリソースだ。

MicrosoftGoogleはどちらも世界的なネットワーク事業者であり、超大規模なサーバー群を所持している。Microsoftに無くてGoogleにあるのはYoutubeである。Youtubeの本質はコミュニティであり、コミュニティはゲームとの親和性が非常に高いため、明確な違いである。

 

Googleが市場の一歩先を視るなら、価格は0円になるだろう。絶対王者であり、規模の優位性を最大限発揮できるGoogleだからこそ取れる形態である。

 

★成功の鍵はビジネスモデル

なぜ0円にするのか少し詳しく説明する。

 

Sonyを始める既存の企業はサブスクリプションモデルでサービスを展開している。今後もサブスクリプションモデルで提供するだろう。しかしこの競争が激化する程、差別化のために価格調整に迫られる。最初は10ドル、5ドル、2ドル99セント。

このモデル同士が競合すると、原則的にタイトルが豊富な方が優位になる。そして、そのタイトルを提供する開発者もユーザーが多いプラットフォームが選択しやすくなる。

タイトルが多いプラットフォームに人が集まり、人が多いプラットフォームにタイトルが集まる。

 

ユーザーがプラットフォームを選択する軸を2つ挙げる。

  1. 遊びたいタイトルがあるプラットフォーム。
  2. 遊びたい人が利用しているプラットフォーム。

同条件のサブスクが並んだ場合、ユーザーはどのプラットフォームを選ぶのか。

 

ユーザーだけでなく開発者も同様である。

開発者は新規タイトルを作成しようと検討してる。STADIAのように、クロスプラットフォームでハードウェアに依存しない開発環境を持つSTADIAの競合が現れた場合、開発者はどのプラットフォームを選択するだろう。

 

つまり、開発者はもっともユーザー数の多いプラットフォームを選択し、プレイヤーはプレイしたいタイトルがもっとも多いプラットフォームに集まる原則がある。

 

売上 = 単価 x 販売数

 

なぜタイトルが集まるのか。シンプルに考えて、単価はほとんど固定費なので、変動費である販売数(人数)の数に売上が比例するからである。売上が立つ場所に向けて開発するのは当然だ。

もちろん開発者視点からすると、複数のプラットフォームにリスク分散させたいが、分散先にも選ばれるだけの理由がある。

 

★どこから収益を得るのか?

ユーザー、ゲーム会社、広告主、通信事業者、ソフトウェア販売業者。あらゆる相手と取引する。三方良しの真っ当なビジネスであれば、エコシステムはよい循環を来す。とはいえ必ず収益は必要である。ビジネスだからだ。もし利益がないとゲーム業界全体を破壊しかねない。

 

どうやって収益を得るのか軽く浚ってみる。

 

- ユーザー

  • ゲーム内課金
  • Youtube Premium併用サービス
  • セーブデータ保存費

 

- クリエイター(ゲーム会社)

  • プラットフォーム契約費(小口であれば無料になる可能性)
  • ゲームサーバー運用費(何割かはGoogleが負担する可能性)
  • プラットフォーム内PPC広告費(プラットフォーム内での宣伝、レコメンド)

 

- 広告主

  • 広告掲載費(ここが一番大きい)

 

- そのほか

  • データセンター内で使用するソフトウェア契約(ソフトウェア販売業者)
  • 専用回線利用費(通信事業者)

 

ユーザーのユースケースを考える。

いつも視聴しているYoutuberさんが新作のゲームを無邪気にプレイしていた。普段あまりゲームはしないが、どうしても気になったので、ドキドキしながらも初めてPlay Nowを押した。たった5秒後すぐにゲームは始まった。飽きたらやめればいい、基本プレイは無料なので後ろめたさはなにもない。...…、このゲームちょっとおもしろいかも...。どうせならYoutuberさんとゲーム内で会ってみたい。そのためにはLvが少し足りないらしい。どうしよう。…もう少し遊んでみよう。やっとYoutuberさんに会えた!他のユーザーとマッチングしたので特別ボーナスらしきアイテムも貰えた。なんかちょっとうれしいかも…。今日はもう寝よう。セーブデータは有料なのかー。まぁいいか!楽しかったし買っちゃえ(笑)Youtuberさんゲームすっごく上手かったな!明日また会えたらいいなぁ。

 

Youtube動画 → 購買意欲 → 即プレイ → コミュニティ参加 → セーブにはお金が必要』

この場合、人によってはセーブデータ保存料が1000円でも、2000円でも払うでしょう。

 

もしこの流れが

Youtube動画 → 購買意欲 → セーブデータ作成にお金が必要→ 購入 → プレイ → コミュニティ参加』

だった場合、購入フローで躊躇してしまい機会損失が起きる可能性もある。セーブデータ保存料が後払いであると、購入前とは別の付加価値がつくので購買率が上がる。こうしてコツコツと売上を伸ばすモデルである。

 

またステートシェアをサーバー上に保存する場合にもお金が必要。ただし、そのステートシェアがシェアされた数だけ広告収入がシェア主に入るとしたらどうだろうか。有料でも設置するだろう。

 

セーブデータはデータではなく思い出。その人とゲームとの接点であり感情の集合体。セーブデータを持っていると、STADIAと同等の競合プラットフォームが現れた場合、セーブデータ提供費(貸出費)を競合他社に請求できるかも知れない。どの道データは強みになる。

 

また、こうしてプレイの障壁を限りなく減らすことはより高いエンゲージメントが期待できる。つまり広告宣伝効果も期待できる。具体的にどこに広告を挟むのかは不明だが、ユーザーの負担にならない箇所に組み込まれるだろう。

 

この辺りの細かな流れはほとんど妄想であるが、もしこのユースケースのユーザーが私なら、恐らくセーブデータを購入するだろう。

 

このモデルのポイントは2つある

  1. 大量のユーザーを短時間で獲得できる
  2. ゲーム開発者に対して正当なインセンティブを支払うビジネスモデルが必要である

特に2つ目を注意しないと、このモデルは全く機能しない。それどころかゲーム業界のエコシステムを破壊する恐れすらある。

 

ディストピアへの鍵もビジネスモデル

『無料』というのは良くも悪くも恐ろしい力を秘めている。

15年前、Youtubeが出る前音楽を聞くにはCDを聞くのが当たり前だった。映画を観るにはDVDを借りるのが当たり前だった。ひとたび無料である恩恵に与ると、そこから元に戻るのは非常に困難である。クリエイターへの正当なインセンティブを支払えない場合、巨額の負債を抱えることになる。こうなると悪循環が始まり、終いには業界の壁に無料という大きな穴を残すことになる。買い切り品を買ったユーザーが『まだパッケージで消耗している』のなんて馬鹿にされかねない。これはディストピアとしか言いようがないだろう。

 

クラウドゲーミングが将来的に発展する理由

大衆のニーズゲーム業界の構造問題技術の進歩の3つを鑑みた際に、求められている形だからである。

 

- 大衆のニーズ

  • 専用ハードウェアが高額になってしまい買い揃えるのが大変
  • 上質な体験を得るためには継続的な出資が必要
  • じっくり腰を据えてプレイする時間が確保しづらくなってきた
  • ゲームは美味しいところだけサクッとプレイしたい
  • コミュニケーションツールの一つとしての需要
  • ゲームする時間は減ったがゲームは楽しみたい欲求
  • VRの初期投資が桁違いに高い

 

- ゲーム業界の構造問題

  • 売れるゲームを作るのに多くの時間とお金が必要になった
  • 継続的な質の向上に期待するユーザーに応えるコスト高
  • オンライン前提の作りとサーバーコスト
  • ピリオド無きチート対策
  • 度重なる発売前のリーク
  • 売れないソフト屋の悪循環
  • ゲーム大規模化、専門化に伴い技術継承が難しくなった
  • 重なる広告費
  • 難しい需要予測
  • 増え続けるハードウェアへの対応

 

- 技術の進歩

  • 通信効率向上
  • 圧縮技術向上
  • 画像転送技術向上
  • クラウドの発展
  • データセンターの増強
  • 分散処理技術向上
  • GPUの技術向上
  • インターネット普及率
  • 機械学習を台頭とするプログラムの発展

 

特にゲーム業界の構造問題が大きい。誰も芳しくないと思いながらも抜け出せない。正に囚人のジレンマである。

 

★もし、失敗の原因があるとすると

最も考えられるのは遅延である。

次にビジネスモデルの破綻。そして競合他社の登場。恐らくこの順番であろう。

たかだか遅延と思われがちであるが、ゲームは娯楽であり、癒やしでもある。本質的ではない場所でストレスを生んではならない。webサイトでは表示が2秒遅れるだけで直帰率(ブラウザバック率)が50%上がるデータがある。webサイトとゲームは異なるが、少なくともユーザーは遅延に対して非常に敏感であると言える。

 

★遅延とゲーム性

engadgetさんの記事によるとSTADIAの遅延は70msec ~ 130msecとのことだ。フレームにすると4f ~ 8f程度になる。

japanese.engadget.com

 

下記の引用はSTADIAの開始を控えたイギリスのゲームソフト売上げランキング2018だ。

4f ~ 8f の遅延が許容されるゲームソフトが何本あるだろうか。

◆2018年 英国ゲーム売上チャート


1. FIFA 19/1,889,401
2. Red Dead Redemption 2/1,757,212
3. Call of Duty: Black Ops 4/1,172,855
4. Marvel's Spider-Man/676,621
5. マリオカート8 デラックス/458,675
6. Far Cry 5 /434,133
7. クラッシュ・バンディクー/430,551
8. God of War/399,395
9. Forza Horizon 4/392,960
10. FIFA 18/351,788
11. Grand Theft Auto V/339,805
12. Spyro Reignited Trilogy/333,725
13. Battlefield V/313,100
14. Assassin's Creed Odyssey 305,937
15. 大乱闘スマッシュブラザーズSP/284,155
16. スーパーマリオオデッセイ/240,710
17. Call of Duty: WWII/230,576
18. ポケモンLet's Go ピカチュウ/227,767
19. Shadow of the Tomb Raider226,125
20. Fallout 76/218,534

引用: 

2018年 英国ゲーム売上チャートが公開!『マリオカート8』は2017年を上回る本数を記録! | ゲーム生活はじめました

 

 これはTwitchのTOPに並ぶ世界中で人気なゲームソフト達である。

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ゲームによっては遅延があっても慣れてしまえば快適なものも多い。

しかし、競技性のあるゲームに遅延はご法度である。特にSTADIAのサービス開始国である欧米ではFPSを始めとするオンラインゲームが流行している。単純に既存のゲームをSTADIAに移植しただけでは受け入れられないだろう。遅延の問題はかなり切実で重要な問題なのである。

 

先行事例としてSonyのPS Nowについても参照してみる。この方も遅延は問題だと語っている。

keisuke-yamada.yokohama

 

下記は格闘ゲームストリートファイターV)で遅延を検証した記事。

www.gizmodo.jp

 

やはり遅延問題は切実であることがわかる。

 

最近の一部のゲームでは、機械学習によってプレイヤーの動きを算出し、予測した動きをユーザーに送信するなど遅延対策が行われている。スプラトゥーンで時々相手がワープするのはこのためであると言われている。とはいえどこまで遅延対策を行ったところで物理的にサーバーが離れていれば遅延は必ず発生する。今後画像圧縮技術や転送技術の発展、データ送信効率向上が行わても限界はある。そのギャップをどれだけゲーム性で埋めるかが鍵になるのではないだろうか。

 

Googleはなぜゲーム開発会社も同時に立ち上げたのか

自社にしかない強みを増やすためである。

競合が現れた場合、自社にしかないエクスクルーシブタイトルが確立されていれば強力な武器になる。

 

Netflixがよい例になる。

動画ストリーミングサービスが乱立した場合、自社にしかない強みを作る必要がある。その手段の一つとしてNetflixは自ら映画を作成した。スティーブン・スピルバーグ監督に『ストリーミングサービスのオリジナル映画は、オスカー受賞に値しない』などと叱責されながらも、作成したオリジナル作品が第75回ベネチア国際映画祭金獅子賞、第91回アカデミー賞短編ドキュメンタリー賞するなど、業界内で着実にその存在感を強めている。

 

また、自社でコンテンツを開発することでIPを獲得するだけでなく、一人のクリエイターとしてのノウハウも得られる。よりクリエイターに寄り添った視点が得られるのだ。

 

Googleがゲーム開発会社『Stadia Games and Entertainment』を設立し、プロデューサーには『アサシンクリード』や『The Sims Online』の開発で活躍したゲーム業界の重鎮、ジェイド・レイモンドさんを布石する理由もここにある。

 

★STADIAから『ファイナルファンタジーXVI』は生まれない

遅延のギャップはゲーム性でカバーするしかない。遅延を許容するゲームジャンルを選択したり、キャラクターの予備動作を多くしたりしてカバーするだろう。クリエイターの創作意欲を100%作り込むには遅延込みのゲームを制作する必要がある。その過程で本来作りたかったものからゲーム性が変わってしまうかもしれない。プラットフォームの制限によって創作物の幅も制限される可能性がある。

 

実はもう一つ、遅延の他にビジネスモデルによって作りづらくなる作品が出る。FFのような超大作ゲームである。

FFは世界中で愛されるRPGである。RPGは遅延が許容されやすいジャンルであるが、FFのような超大作はビジネスモデルの影響を受けやすい作だ。

 

Googleが無料、或いはサブスクリプションでサービスを運用した場合、収益はどのように分配すればいいのだろう。

1社ならいいが1000社もいたらどうだろう。売れる作品もあれば、売れない作品もある。当然人気作品には対価として相応のインセンティブ支払うべきだ。

その指標はプレイ回数だろうかプレイ時間だろうか。もしプレイ回数あれば、フラッピーバードのようなとてつもなく敷居の低いゲームが売れるだろう。もし指標がプレイ時間であれば、Candy Crushのように隙間時間にサクッとプレイできるゲームが売れるだろう。

 

ゲーム会社への報酬(売上) = 単価 x プレイ回数

ゲーム会社への報酬(売上) = 単価 x プレイ時間

 

もし『ボス戦前にたっぷり広告が挟まれたら』と考えると100年の恋も興醒めである。中毒性の強いスナック菓子のようなゲームが売れ、アートの領域まで昇華された超大作は投資に見合うだけの対価は得づらい構図が出来上がってしまうのだ。

 

スナック菓子が売れやすいビジネスモデルだとソシャゲLikeな作品に偏ってしまう。ユーザーを魅了する有力タイトルを揃えようとしても、対価が払えないなら大型タイトルは集まらない。プラットフォームは多様性に欠け、寂しいものになってしまいかねない。

 

★ジレンマを埋めるのは任天堂

こうした特殊要件に最も強いのは、私の知る限り任天堂だ。任天堂はゲームハードウェア戦争から一番早く抜け出し、一国の主になった。そして任天堂は大衆のニーズを上手に汲み取る戦略に長けたコンテンツ作りのプロである。もしSTADIAに任天堂が協力した場合、鬼に金棒ではないだろうか。

 

私が思うにSTADIAの需要は家庭用ゲーム機のシェアよりPCゲームのシェアを多く奪う結果になると考えている。従って最も影響を受けるのはSTEAMだろう。

そして最も影響から遠いのは任天堂だろう。3DSユーザーやNintendo LABOなどを愛するSwitchユーザーの需要と、STADIAの層が全く異なる。仮に任天堂がSTADIAのプラットフォームでより多くのファンを獲得しても、それはNintendoがこれまで培った内需に影響を与えづらい。

 

任天堂の話は誇大妄想!?

言ってしまえば筋の悪い誇大妄想である。が、もしGoogle任天堂が組んだらゲーム業界は更に盛り上がること必須である。言ってしまえばカツとカレーが出会ったような状況である。カリフォルニアとロールが出会った状況である。なにを言ってるのか自分でも分からない。

 

クラウドゲーミングの流れは確実にある。これは事実だ。その流れに任天堂を始め多くの企業はも何かしらアクションを起こす必要に迫られている。

 

SonyはPS5をクラウドゲーミング化してくるかもしれない。PS5でコケても440万曲以上のIPを持つ名実ともに世界最大級の音楽出版である。Appleが進行しづらいインドや東南アジアなどに進行する道もある。インドは音楽の国だ。

Microsoftは元々AZUREで育てたバックグラウンドがある。

しかし任天堂にはそういった大規模な後ろ盾がない。クラウドゲーミングの流れに乗るにはGoogleの大規模なインフラを利用するのは悪くない選択肢だと思う。コンテンツがほしいGoogleとものづくりに長けた任天堂は利害が一致するからだ。

 

★日本でローンチしない理由

日本でローンチしない理由は3つある。

  1. 日本にあるデータセンターの量
  2. 収益性の問題
  3. 言語の問題

最大の理由はデーターセンターの量が足りないからだと考えている。GoogleGCPなどで使用するデータセンターが日本にあるが、絶対数がまだまだ少ない。データセンターはサーバーである。遅延が問題視されている状況下でクライアントとサーバーとの距離を広げ遅延を拡大させるような運営は避けたいはずだ。

2つ目は、収益性の問題がある。日本のゲーム市場は1兆5000億円とも言われ、間違いなく魅力的な市場である。欧米との売上比率を観るとどうしても少なくなってしまう。これは人口に大きく依存するので仕方がない部分である。

3つ目は、言語の問題である。今回リリースする多くの地域は母国語が英語の国である。欧州の発表があったが、欧州の人達の多くは母国語以外にも英語が理解できる。これは勉強熱心というよりかは生活環境に英語が深く根ざしているためである。STADIAの発表では対応言語についての言及はなかったが、恐らく英語一本であろう。少しでも少ないリスクで、且つインパクトが最大になるように考慮した結果日本語に対応するのはまだ少し早いと判断されたのだろう。

 

★既存ハードメイカーの将来

直近ではほとんど変化はないだろう。

長期的には変更の必要性を迫られているが、現在の戦略で十分であり、GoogleのSTADIAは劇的に業界の地図を書き換えることはないのではないだろうか。やはり既存のゲーム市場にしかない面白さがまだまだ残っている上にユーザーもそれを望んでいる。しかし、長期的にみるとYoutubeがそうだったようにクラウドゲーミングは雪だるま式に市場の存在感を増すだろう。

最も最初に影響を受けるのはSTEAMではないだろうか。スマートフォン市場からの流入も考えられる。ただし、一年後Googleを含めどこかの大手ゲーム会社のシェアが極端に大きくなることはないだろう。むしろ市場全体の売上が発達し、ゲーム市場の拡大スピードは加速するだろう。

任天堂はローカルな需要を発掘し続けるだろう。任天堂のハードウェアサイクルはSonyMicrosoftと半周ずれている。これ見よがしにSwitchを120%活用した戦略を取るのではないだろうか。

 

SonyはPS5と音楽市場の動き次第である。PSVRの発表も控えているが、VR市場の大きさに沿ったものに収まるだろう。今年のE3には参加しないというのも気になるが、どんな番狂わせをしてくれるのか、Sonyには増々期待が持てる。

 

Microsoftは強力なリソースを活かしてGoogle同様クラウドゲーミングサービスに増資するだろう。

 

SonyMicrosoftはハードウェアサイクルの繋ぎ目なので、なにかサブ収益になるもので越冬するのではないだろうか。

 

或いは多くのゲーム会社がSTADIAに賛同し、STADIA上で自社製品のデモプレイを販売しだすかもしれない。デモプレイで納得したユーザーは、専用ハードウェアで完全版を購入する流れである。

 

一つ確信めいて言えることは、中途半端なスペックのハードウェアは排他されることである。ハイエンドな物か、必要最小限のスペックか。器用貧乏は生きづらくなるだろう。

 

もし今後業界をマクロで視ることがあるなら、TencentとNetEaseなど中国大手ゲーム会社の動きにも注目してもらいたい。Tencentは売上世界一のゲーム会社はである。この辺りの動きは非常に速い速度で変化している。

 

newzoo.com

 

newzoo.com

 

★エンジニア目線でみたSTADIA

エンジニア目線から視た時に気になるのはストリーミング技術、チート対策、クロスプラットフォームの主に3つだろう。

  • ストリーミング技術

Google25Mbps以上の回線を推奨している。将来的に技術が向上し20Mbps程度まで下げられ、より高画質配信が可能な環境が整備されていくだろう。Googleは圧縮技術やネットワークプロトコルの策定、開発に非常に前向きで今後もこの傾向が続く。STADIAはその恩恵を受け続けるだろう。

 

ストリーミング技術については下記の記事が非常に勉強になった。どんなアプリケーションなら、フルスクラッチする必要まで迫られるのだろう…。

medium.com

 

  • チート対策

従来のゲームはどれだけプログラムに鍵を掛けても、肝心の物体がチーターの手元にあるので理論上は必ずセキュリティを突破される。ゲーム開発者はチーターが諦めてくれるまで厳重に何重に鍵を掛ける以外手段がないのだ。当然鍵が増えれば物体の重さは増えるので扱いづらいものになっていく。仕組みを考えるために知恵もコスト掛かった。これが非常に厄介だった。

クラウドゲーミングはテレビの向こう側にある鍵をピッキングするよなものだ。難易度は一気に上昇する。ユリゲラーならできるかも知れないが、ほとんどのチーターはこの時点で諦めるだろう。

 

また、近年はリークに対しても非常に手を焼いている。一般に出回る前に卸業者などからゲームを入手してプレイ、画面などをネット上に晒す自己中心的な行動が増えている。これらに対してもクラウドゲーミングは非常に有効であ。物体はテレビ画面の向こう側にあるのだから、物体を写すかどうかを提供者側で操作できるからだ。

 

ゲームチートに対しては下記が非常に楽しかった。ここまで喋っても大丈夫なのだろうか…(笑)

turingcomplete.fm

 

専用ハードウェア間の移植はエンジニアに取って手間で仕方がない。使われているミドルウェアが同等であればコストは削減されるが、旧作を新ハードにリメイクしたり、スマホに対応するとなれば、作業量は一気に増える。

 

クラウドゲーミングの先駆者であるGaikaiやOnLiveも、過去作を現代に蘇らせる作業が非常に大変だったと語っている。使われなくなったボタンや機能を現代のハードウェアに合わせるのは、確認するコトも相手も増える。それに見合うだけの収益があればいいのだが

 

そのギャップをGoogleが埋めてくれるのだ。これほど素晴らしいことはない。本質的じゃない時間が減り、より高い生産性を発揮できる。ユーザーも、PS4を持っていないから仲間外れにされるような、寂しい思いをしなくて済むかもしれない。

 

クロスプラットフォームが発達すると、クラウドゲーミングプラットフォーム同士がクロスできるかもしれない。その場合、セーブデータを握っている側が有利に立ち回れるだろう。

 

★一人のユーザーとしてGoogleに期待すること

個人的にYoutube連携とステートシェアが非常に気になっている。Youtuberがどんなクリエティビティを発揮して、ファン達にサプライズするのかが非常に楽しみだからだ。

そして一番の楽しみはステートシェアである。その時、その瞬間、一番楽しい時間をシェアできるのだ。スーパーマリオメーカーのようにシェアされたりもするだろう。わざわざゲームを進めなくてもプレイしたい場所を探してプレイできるのだ。楽しみで仕方がない。

 

個人的に望む未来像として、格闘ゲームなどのステートシェアとGoogle機械学習技術が組み合わさったら、ときどレプリカと対戦できたりもするかも知れない。シンギュラリティともSFとも捉えられる世界だ。切に願う次第である。

またSTADIAので培われた技術はやがてVRに生かされるだろう。VRの利用価値はゲームの世界を越え、現実的な利益に昇華する。

またVRの機材は大衆が気軽に買えるほど安くない。クラウドゲーミングにあやかり、所有から利用に移り変わるのを楽しみにしている。

 

★家庭用ゲーム機 vs クラウドゲーミングは既に決着済み

クラウドゲーミングの勝利である。流れは確実にこちらにある。勝因はゲーム業界の構造問題が大きい。しかし勝利と言っても屈服させるようなものではなく、しばらくは和平を結んだような状態に落ち着くだろう。長期的に視てクラウドゲーミングの流れに対応しないと存続できない未来はほぼ確定であるが、喫緊の問題とは呼べないだろう。決着は付いているが、どちらかが圧倒的に勝つということではない

 

  

★ユーザーはどうするのが賢いのか

「それは業界にとって本当に刺激的な瞬間だと思います。全世界がその新しいモデルに一晩で移行することはありません。我々が約束するあらゆる機能を具体化するには時間がかかるでしょう。しかし,これは重要です。これは避けられないものであり,業界が進むしかない方向性だと私は信じています」

 ~  フィルハリソン ~

引用: http://jp.gamesindustry.biz/article/1903/19032201/

 

クラウドゲーミングの波が来たと慌て動じる必要は全くないだろう。じっくり自分の価値観に沿った癒やし、娯楽を求めるのが最善の選択ではないのか。

 

まとめ

無料で提供する選択はGoogleだからこそ取れる強い選択である。その可能性はゲームとクリエイターの在り方すらも変貌させる剛柔さを秘めている。しっかりユーザー、開発者、クリエイター、事業者、その他利害関係者が活きる真っ当なビジネスが構築されることを願う。そして清々しい気持ちでGoogle STADIAを利用できる日を待ち遠しく思う。

クラウドゲーミングの可能性を限界まで押し広げてくれるゲーム業界とGoogle、そしてそんな世界の始まりであるビックバンに感謝して、今日も眠りにつく。ありがとうビックバン。ありがとうビックバン。

 

GCD2019 STADIA FULL MOVIE

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非常に長い投稿にもかかわらず、最後までご覧頂きまして大変ありがとうございますm(_ _)m

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【画像】ポケモンカードイラスト 歴史 画像一覧で振り返る ~懐かしさに溺れろ~

ポケモンカードのイラストが好きでなので個人的に一覧風にまとめた

 

 

 

ポケットモンスターカードゲームシリーズ

全ての元祖。赤緑青黄編。今の社会人に刺さる。温かみのある自由な作風が特徴的で支持が根強い

・第1弾

1996/10/20

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